『最高齢プロフェッショナルの教え』感想続き


 この本を読んでいて、一つ大いに気になったことがあるんだ。年寄りの話は聞いておけよと言ったくせに、どうも納得いかないというか疑問に思ったことがあったんだよ。


 それはね、「“好き”だからここまで続けられた」とか「“好き”なことを見つけて、それを続けるべし」とかいう言葉が随所に出てきたことなんだよね。ちなみに言っておくと、僕は好きなことを仕事にするってのには疑問を感じてるんだ。だってさ、好きなことであろうとなかろうと、お金が絡む仕事という舞台においては、自分の好きなようには絶対に進められないんだよね。重要視されるのは、誰かの好きなことを丹念に感じとって、忠実に再現することなんだよ。だからさ、自分が好きだと思うことに対して、そんなマリオネットみたいな関わり方なんてしたくないってのが僕の考え方なんだ。てなわけで、好きなことも仕事にしてしまうと嫌いになって長続きしないから、仕事にするならたいして興味がない分野にした方がいいって思ってるんだよね。


 だからね、空気を読むことを求められる昨今でなくとも、自分の「好き」を徹底する人間って煙たがられると思うんだよ。これは今も昔も程度の差こそはあれ、たいして変わってないと思うだ。ということは、先輩やライバルがリタイアしてもなお一つのことを続けている人には、まわりになんと言われようが、自分の価値観を貫き通す強引さというか、アクの強さがあるはずなんだよね。つまり外野にいる僕らからしてみれば、「最高齢」として賞賛すべきなんだろうけど、その当人のまわりで関わっている人にとってみれば「気難しいジイさん」だったりするんじゃないかな。もちろん、嫌われてるとは思わないよ、愛すべき「気難しいジイさん」みたいな感じだよ。でも、「気難しい」って部分が中心にあることは間違いないね。


 だから僕はふと思いだしたんだよ、「よその社長はいいこと言うなぁ」という名言をね。これに似たような温度を感じたんだ。他人からしてみればカッコイイかもしれないけど、まわりにいる人は扱いづらかったりするんだろうなって。この最高齢の人たちの生き方であったり、人生哲学ってものにね。


 でもまあとにかくね、僕は仕事に「好き」を持ち込まないようにはしてるけど、当然「好き」な物事はあって、それは趣味として享受し、そして長く続けようとは思ってるわけさ。だからね、趣味とかアマチュア・レベルで「好き」な事柄を続ける上でも、この最高齢の方々の意見ってのは参考になったとは思ってるんだよね。まあまとめるとだね、仕事であっても趣味であっても、好きなことを見つけて長く続けるべきだということだよ。