吉野家、マクドナルド、選べる不便さ


 久しぶりに吉野家に行ったんだけど、なんかメニューがあれこれ増えてたんだよね。店の外にカレーののぼりがあったんでそのカレーを注文したんだけど、他の人はトッピングで「とろろ」とか頼んでて、なんだよそれ、そっちの方がおいしそうだなとか思ったりしてね。僕が吉野家を知った頃は「並」or「大盛り」に対して、「味噌汁」&「タマゴ」も付けるか否かくらいの選択肢しかなかったようなもんだから(漬物とかコールスローとか頼むのは財閥のやることだと思っていた)、あー、吉野家も変わったなとしみじみしてしまったよ。



 でね、僕はメニューがあれこれと増えてる場面に出くわすと、決まってマクドナルドで「バリュー・セット」に大革命があったことを思い出すんだ。たしかそのとき、バリュー・セットのサイド・メニューが色々と選べるようになったんだよね。ポテトじゃなくてナゲットだったり、あとサラダとかデザートとかなんか色々あって、メニューが書かれた下敷きみたいのにも、たくさんの商品が書き並べられ、「選べる、うれしい」みたいなキャッチ・コピーが書かれてたんだ。


 でもね、結果客が「どれにしようかな」と悩む時間が増えて、注文前の行列が目立つようになって、「行列並ぶくらいなら別の店行こう」という客が多くなり、大きな赤字になったって連鎖が起きたんだよ。ニュースで何度も見た気がするね。「マクドナルド選べるバリュー・セットで大失敗!」みたいなね。確かに僕も、いちいち店員に「サイド・メニューはどうしますか? ○○もお選びできますよ。お次はこちらの中から好きなものをお選びください」とか順を追って尋ねられるのが煩わしかった記憶があるんだ(ただ、このあたりの情報ソースがあまり見当たらないんだよね。僕の記憶違いかもしれないから、取り扱いに注意してくれよな)。


 だからさ、それ以来僕の中で、選択肢を増やすことが必ずしもユーザーにとって善ではないと考えちゃうんだよね。だってさ、客にとって店頭で迷ってる時間ってのは、恥をかいてる時間である場合もあるよね。「なんだよ、早く決めろよコノヤロー」って視線を浴びるような気分だしさ。


 最近じゃラーメン店も壁一面にいろんなメニューを書き連ねて、食べ飽きない商いをするのお店が増えてるような気もするけど、僕は昔の吉野家のように、「はい牛丼のみ、あと欲しけりゃ味噌汁とタマゴくらいならあるよ」ってシンプルなスタンスが好きだったりするな。むしろ落ち着くよ、そういう店の方が。まあ古い考え方かもしれないけどね。


◆吉野家オフィシャルサイト