落合博満著『采配』感想

(前略)
 ルールで決められたことは、どんな理由があっても守らなければいけない。私はそう考えている。ただし、そのルール自体に抜け道があったり、時代にそぐわないものになっていたら徹底的に見直すことも必要だろう。ルールがその世界の発展を停滞させるものであってはならないのだ。
(後略)


 僕はこの「ルール」に関する哲学ってのが、落合を落合たらしめている中心部分だと思うんだよね。だからね、WBCへの選手不参加や、シリーズ前の全選手登録抹消なんてのは、「ルール」を熟知した上での「手」だったことがわかるよ。特にWBCへの参加に関しては、世の中のほとんどが「必要とされる選手であれば、日本代表として参加すべき」という「感情論」で語っていたけど、そんなルールはどこにもないんだよね。当然僕も「1人くらい中日から選手出てた方がWBCもおもしろいよな」って思ったけどね、そんなのは観る側の都合に過ぎないんだよ。プロ野球選手としての契約(「契約」についても他のページで語られている)というルール上では、「代表監督が選考しても、本人が希望しなければ参加しない」ってのはしごくまっとうな対応なわけさ。


 そこで思ったのがね、世の中の仕組みの中に個別の「感情」が割り込んでくることによって、無駄に腹を立てたり、ひどく落胆してしまうことって多々あるんだろうなってことだね。つまりさ、きちんとルールがあるのに、そのルールとは別次元の自分ルール、自分基準において「これは違うんじゃね?」とか、勝手な判断をしちゃってるってことだよ。こういうのって、すこぶる無駄、だよね。


 だからね、客観的に「ルール」を知ったうえで采配をふるうことって大事だなと、かねがね思ったね。かねがねね。きっとそこには最短ルートでゴールに辿り着くヒントがあるような気もするんだ。


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