映画「源氏物語 千年の謎」感想


 まあ、悪くない。でもちょっとわかりにくいかな。


 悪くないというのは、切り口のことだね。「源氏物語」に関しては、わかりやすく解説した文献やマンガやサイトなんかあって、まあ今さら映画になったからって観ようという気にもならないんだけど、この映画では作者の紫式部にもフォーカスしてるんだよ。「なぜ紫式部源氏物語を描いたのか?」みたいな部分ね。この切り口は新鮮だったよ。これは良かった点。


 以下、ちょいネタバレ注意。


 一方で、現実の「紫式部の世界」と、フィクションである「源氏物語の世界」が、微妙に交錯してて「?」と感じる場面が多々あったんだよね。もちろん、この映画作品全体をフィクションとして構成・演出してるんだろうけど、個人的には現実パートと物語パートでしっかり線引きしてほしかったな、というのが強い感想だね。現実パートはリアリズムに徹してほしかったよ。


 ちなみに公開直後の土曜日とあって、観覧者は多く、中高生からお年寄りまで客層はバラエティに富んでいたんだけど、みんな楽しめたのかなってちょっと疑問に思ったね。源氏役の生田斗真を観に来ただけの若い子らは絶対からきし理解できてないだろうし、「源氏物語」部分は、とてもざっくりとだけ切り取った構成に老人たちは満足したのか心配だよ。


 ということでね、この映画を観て得たものは、紫式部についてももう少し知っておきたいなという課題かな。まあ、君に映画館に行くようにおすすめするほどの映画じゃないかもね。


◆映画『源氏物語 千年の謎』公式サイト