なぜリピートしないのか

◆リピートがすべて<Chikirinの日記 (2011.12/11)


最近ホテルはもちろん、レストランでも「お客様の声をお聞かせください」という紙をよく見ます。いわゆる「顧客満足度アンケート」ですね。


ちきりんがこれ系のアンケートを見ていつも思うのは、まず最初に聞くべきは

「このサービス(施設、商品など)を利用されるのは何度目ですか?」

「次回も(or○年以内に)このサービス(施設、商品など)をもう一度利用しようと思いますか?」

という質問だと思うのだけど、案外見ないもんです。
(中略)


確かに個別の機能やサービス項目ごとに満足度を聞けば、結果が出たとき「何を改善すればいいか」が明確になるので、アンケートの作り方として悪くはないと思います。

けれど、実際には「満足した」からといって再度使ってもらえるとは限らないし、いろいろ「不満」をもちながら、再び使ってくれる客もいます。

将来の売上は後者の客から上がるのだから、ちきりんに言わせれば、大事なのは「今回の購買経験に満足したかどうか」ではなく、「リピートしてもらえるかどうか」です。
(中略)


供給過剰な市場においては、消費者は「満足した!」場合でも「別のものも試して見よう!」と考えるので、相当のインパクトを与えないとリピートしてくれません。反対に駅前に1軒しかない食堂なら、満足度はたいして高くなくてもリピートされます。
(中略)
ちなみにブログだって、一度「おもしろい!」と思われても、継続的に読んでもらえるかどうかは別問題です。毎回毎回「ヒドイ内容だ! とんでもない!」とか言われながらも、更新するたびに読みにきてもらえるブログもあります。当然ですが後者の方がアクセス数も伸び、マネタイズも容易で、「人気ブログ」に育ちます。

ネット上の文章もすごい数なので、「供給過剰で競争が熾烈な市場」です。だから「おもしろかった!」と「もう一度読みに来てもらえる」の間には大きな差があるわけです。
(後略)


 僕も飲食店のレビューをtabelogなんかに書き込んでいるんだけど、確かに評価の点数とリピートはまったく別物だなと思ったね。ちなみにさ、僕がtabelogで4点以上の評価をしておきながら、それ以来足を運んでない、または今後行くことはなさそうと思う店を数えてみたら、33店舗中16店舗あったよ。つまりは、食べたときは「うまい! 良い店見つけたぞ!」と思っても、その半分位しかリピートには至らないってことだよね。


 でね、じゃあ、なぜ満足して、嬉々としてレビューを書いたのにリピートしないのかって考えてみたんだ。

  • 家から遠い
  • 車で行けない(車で通りにくい)
  • 単体では「良い」のだが、他で代用が利くと判断し、相対的に二番手以下になっている


 立地、アクセス上の問題とジャンルとしての相対価値が要因ってところだろうか。確かに、相対価値ってのは大きな要素だろうね。2番じゃダメなんだよ。僕はここ数年「居酒屋」だったり、専門性がわかりづらい飲食店ってのは、プライベートではまったく行ってないんだよね。というのは、焼き鳥とか中華とかおでんみたいな“看板”がないと、ぼんやりした印象を受けて、「妥協した」感を感じながらの食事になっちゃうわけさ。だからどうも敬遠しちゃうんだ。居酒屋で出てくる料理だったら、肉でも野菜でも揚げ物でも、それを専門でやってる店の方が満足感味わえるだろうってね。それぞれのジャンル、カテゴリーで1番満足するお店にしかリピートの可能性はないってことだよ。



 で、店の相対的な満足度の優劣が決まってもまだリピートするとは限らないんだよね。“消費者は「満足した!」場合でも「別のものも試して見よう!」と考える”という通り、僕の中でも冒険と妥協は、「冒険」の方が優位に立ってるんだよ。「あの店美味しかったけど、また行くくらいなら、何か新しいお店探してみたいな」ってね。だから、基本リピートすることって少ないんだけど、ひょんなきっかけで再訪し、2度目でも「やっぱ、美味いなこの店は」と思ってやっと立派なリピーターになるんだよね。このひょんなきっかけってのが、もしかしたら立地・アクセスなのかなと思ったね。だって、「冒険」としてアクセスしにくいお店には行けど、「妥協」として通いづらいところになんか行かないもんね。


 そう考えるとさ、リピートってのは、立地やアクセスがもっとも重要なウエイトを占めているのかもね、実は。味とか商品の質や品揃えという誰もが注目する華やかな一面ではなく、努力や工夫のしにくい、店をつくったときのそもそもの“ポテンシャル”が客入りに影響してることだよ。なんだか、マネーボールを思い出しちゃったよ。「勝ち」に繋がる近道ってのは、何かの影に隠れて見えづらい地味なところにあるもんなんだなとね。