先輩気取り、後輩気取り


 最近、母校意識が高くなってきてる気がするんだよね。というか、もう少し正確に言うと、母校の先輩や後輩に出逢うと嬉しくなるって感じかな。


 同窓会とかOB戦とか部活のコーチとかが続いたこともあるんだけろうけどね。でも、一番影響してるのは、地元で生活してると、ふとした所でよく先輩や後輩に出くわすってことかな。特に同じ中学の先輩後輩ってのが、もうしょっちゅう出現するんだよ。というのも、僕の中学は市内でも超のつくマンモス校で、また学区内に金沢市のトップ3の有名進学校が集中してることもあって、今でも人気の学校なんだよね。で、どこに顔を出してもひょんなところに先輩や後輩がいて、ちょっとした地元トークに熱が入るってわけさ。こういうの先輩後輩ハッケンがあると、とても気分がハッピーになっちゃうんだよね。なぜか。



 で、これってさ、東京にいた頃、初対面の人に「東京の人ですか? どこか地方の出身の方ですか?」って必ず訊いてたのと似てるなと思ったんだ。どこぞの人間かとりあえず訊ねるってのね。でもさ、東京にいた頃は、同じ石川とか北陸の人間と出逢っても、そんなにテンション上がらなかったんだよね。むしろ、ああ、なんか無理やり話を合さないといけないようでめんどくさいな、と感じてたくらいだよ。


 だからね、最近、先輩後輩意識があるのは、自分が誰かの先輩だったら、「おおキミもかね」とでかい顔したいし、自分が誰かの後輩だったら、「えへへ、どうもどうも」といい感じでゴマ擦ることができるって気持ちからなんだろね。自分と誰かとの距離感、上下感をはかるうえで、母校ってものを便利なモノサシにしてると。結局、母校ってものは派閥とか政治的なツールとして意識的に使うようになっただけなんだろうね。まあだからね、母校からの募金のお願いみたいな通知がきても、一律無視してることにも納得するよ。だって母校愛があるのではなく、単に人間関係を築く上で母校を利用しているだけなわけだからさ。