出張、ホテル、聖書


 1月の終わりくらいから、ぱらぱらと出張に出る機会があったんだ。1月26日に飛行機で東京、29日に車で富山と電車で名古屋、2月1日に電車で大阪、翌2日に電車で福岡をまわって飛行機でゲット・バック(豪雪のため1度引き返した)。なかなか楽しげなスケジュールだろ。


 まあとにかくさ、ホテルで1人でいてもけっこう暇なんだよね。だから聖書でもを読んでみようって思いついたんだよね。ホテルってなぜか聖書が置いてあるのは知ってるよね。若い頃は、こんなもん誰が読むんだよってケチつけてただけに、逆に読んでみようって気になったんだよね。僕は天邪鬼だからね。もちろんキリスト教の聖書なんだけどね。



 で、まず驚いたのが、聖書って小説みたいな内容なんだね。知らなかったよ。てっきり、「救済の章」「恵みの章」「愛の章」みたいにまとめられた啓蒙書とかビジネス書みたいな、いわゆる新書の類だと思ってたんだけど、違うみたいだね。イエスがどこに出かけたとか、そのとき何が起こったみたいなことがつらつらと書かれているんだよ。で、途中で読むのを止めたんだけど、第一章はペテロが書いたイエス、第二章はパウロが書いたものみたく(弟子の名前は適当)、似たような内容が著者を変えていくつか続けて書かれてるんだ。なんか独特なまとめられ方だなと思ったよ。現代じゃこんな編集の書籍は出版されないだろうなってね。


 で、僕は冒頭の数ページと、かの有名なユダがどうしたこうしたってあたりをかいつまんで読んだだけなんだけど、とてもたんぱくで質素だったんだよね。「キリストがやって来て弟子たちの足を洗いはじめました。弟子たちは口々に、おおなんて勿体無いことを、おやめくださいと言いました」みたくね。議事録みたいに淡々と書き連ねられてるんだよ。だから途中で読むのをやめちゃって、iPodブルーハーツを聴くことにしたんだけどね。


 つまりね、僕が言いたいのはこういうことだよ。昔は、気色悪がってた聖書ってものを手にとってみるだけ、僕も世界が広くなったってことかな。いくら無宗教バンザイの日本人だからって、聖書がどういうものか知らない、一度も開いてみたことがないってのもつまんない人生だからね。でも、まだその中身に何かを見出すまでにはなってないようだけどね。