映画「TIME/タイム」感想


 時間、通貨、そして寿命、となかなか興味深いキーワードが並んでたんで観てみたんだ。で、実におもしろかったよ。シンプルな世界観で深いテーマって、僕が一番好む映画だからね。


 で、昔どっかで聞いた話を思い出したんだよね。人は歳をとるにつれて、時間をお金で買うようになるとかいう話だよ。つまりね、僕の場合だと、東京に出たばかりの大学生のときは、電車賃をケチるために何駅もの距離をテクテクと30分とか、ときには1時間もかけて歩いたりしてたけど、いつしか歳をとって20歳台も後半になってくると、ちょっとの距離でもタクシーに乗って、すぐ帰ろう、すぐ帰って少しでも長い時間眠ろうなんて考えるようになってたんだよね。つまりさ、若い頃は、時間は余るほどあってお金には限りがある。でも、歳をとると、ある程度の金銭的余裕はできるが時間というものに限界を見るようになるわけさ。だからね、時間を短縮できるものに、どんどんお金をつぎ込むようになってたんだよね。


 つまりさ、時間とお金の天秤関係というのは、すこぶるうまいことできるわけなんだよね、人間にとって。だからこそ、この映画の「時間と貨幣」が同レベルで存在している世界観ってものに、フィクションとはわかっていながらも、非現実的な設定とは思えない切迫感があるんだよね。またこの時間と貨幣の存在が同一となるという年齢が25歳という設定も、実に現実味のあるボーダー・ラインなんだよね。まさにこのあたりから、先に説明した時間とお金の価値観が逆転しはじめるわけだからね。


 そんでね、きのうの「細胞の死」の話じゃないけど、永遠の命っていうのは魅力のないことのように思えるんだよね。自然じゃないと。とはいえ、じゃあ自分の命が数値化され、可視化されて、ある程度コントロールできるものであったとしたら、死にもの狂いで、その生命にしがみつくような気もするけどね。まあ、人間の欲求なんてそんなもんだよね。


◆映画「TIME/タイム」オフィシャルサイト