『社長のデザイン』感想


 「制作」という現場で仕事をするようになって、デザイナーっていう職種はかわいそうな役回りだなと思うことが多かったんだよね。というのもね、デザインっていうのは、猫も杓子もダメ出しを入れてくるわけさ。「もっとポップに」「なんかパッとしない」「赤い色ばっかりでしつこい」「全体的にぼや〜っとしてる」「シズル感がない」etc.など、もう感覚的過ぎる修正や結局どうすればいいのかわからないアドバイスに満ちていると。同じく、まったくプロジェクトに関係のない人間やもうその辺に偶然居合わせた人なんかでも「女性としての意見では……」や「おじさん的には……」など、頼んでもないような注釈付きでダメ出しが入るわけさ。まあこういう修正要望に応えなければならないってのは、たいへんだなぁとね。


 でも、それはそれで、言い換えれば、パッと見の第一印象ですべてが決まってしまい、プロや専門家だけでなく何でもない素人の印象で出来不出来が決まってしまう重要な役目でもあるってことだよね。デザインってのは、直感で「何か」を感じさせる力がないと意味がないんだよね、きっと。だから、この「デザインを決められるのは社長だけだ!」って部分に強い説得力があったな。


 で、今の僕は、デザインに関してあまり関わりのない世界にいるわけだけど、それでもデザインに関する興味はもちろん、センスってのは持ち続けなければいけないと思ったよ。


 というのもね、普段街中でも、思わず写真を撮ってしまうものってのは、デザインが優れているものなんだよね。景色はもちろん建造物や広告だってそうだよね。それに、記念のスナップ写真だって、フレーム内で人物と景色をどうレイアウトするかってのはデザインのセンスが重要だと思うだ。だから、確かに仕事としては、社長だけがデザインを決められるのかもしれないし、デザイナーという役職だけがデザインを創造でき、外野の僕らはありがたくない野次馬としての意見を述べるだけかもしれないけど、それでも僕らは普段からデザインに接しており、デザインに対するセンスを磨くチャンスがあるわけだよね。だから、この辺をもっと楽しまなきゃと反省したんだよ。


 だから君もデザインに対しての興味は今以上に持っておいたほうがいいね。それだけで、いつも通りの通勤ルートだって、楽しいものに変わると思うな。


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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
デザインを活用してビジネスを革新する経営者26人が登場。

【目次】(「BOOK」データベースより)
巻頭インタビュー クオンタムリープ代表取締役ソニーアドバイザリーボード議長・井出伸之「経営者自身がブランドやデザインの価値をもっと意識する必要がある」/第1章 メーカー編(エステー社長・鈴木喬「デザインは社長にしか決められない」/ダイソン創業者チーフエンジニア・ジェームズ・ダイソン「デザインとエンジニアリングに境界なし」 ほか)/第2章 ファッション・製造小売り編(三宅一生「再び世界へ!日本のモノ作りがやるべきこと」/タビオ社長・越智勝寛「商品の良さをきちんと伝えないといけない」 ほか)/第3章 サービス・広告編(スマイルズ社長・遠山正道「経営者にとって最低限のたしなみ」/星野リゾート社長・星野佳路「本音のぶつけ合いで理想の空間を生む」 ほか)/第4章 中小・地方企業、農業編(マルモ印刷代表・奥田章雄「自分たちの技術を生かしてモノ作りに乗り出す」/マルハン取締役・若林均「自分の娘に向けた、雑貨店で売れる緑茶」 ほか)