「太宰治物語」


 いやもう、しびれるってのはこういうことを言うんだよね。まじ、そう思うよ。


 太宰治物語」がTBS系列でオンエアされたのは、2005年の10月。実際僕もリアルタイムで観たんだけど、とても印象に残っていたんだよね。てか、3年も昔の単発ドラマを覚えてるくらいだから、ちょっとしたもんだってことはわかってもらえるよね。


 で、今回なんでこんな話をしてるかというと、青森でダザイ巡りをしてたときに、お世話になった「太宰の暮らした疎開の家」のご主人のご好意で、このドラマのDVDを郵送してもらったわけなんだよ。まあ、マスターテープとか、そんなもんじゃなく、テレビ放送を録画したというごく一般的な映像なわけだけど、かつてダザイ暮らしていた家から「太宰治物語」のDVDが送られてくるというあたりにプレミア感を感じるんだよね。
◆純粋で明るい「太宰治物語」 主演に豊川悦司YOMIURI ONLINE (2005.09/27)


 で、3年ぶりにトヨエツ演じるダザイを観たわけだが、やはりこのドラマはキャスティングがすばらしいわけさ。もとより、この手のドラマや映画なんて、ストーリーは大筋動かしようのないもんだから、キャスティングで観る側のモチベーションも食いつき具合もぐらりと変わってくるんだよね。で、そんな中でも、太田静子菅野美穂に拍手を贈りたいね。太田静子って女は、ダザイの愛人の一人なわけだけど、そんなことよりもダザイの名作『斜陽』はこの人の日記から創られたとされているからダザイを語るうえで欠かせない人物なわけさな。菅野がそれにどんぴしゃハマり役だったんだよね。どんぴしゃね。ダザイの子どもがお腹にいるということを告げるためダザイに会いに行くシーンがあるんだけど、その場でダザイが酔っ払ってはしゃいでる姿を黙ってじっと見つめているその菅野の表情を観たら、誰だって鳥肌が立つと思うよ、ホント。どんぴしゃだね。来年公開される映画『斜陽』もサトエリじゃなくて、菅野にやってもらいたいと思ったくらいだよ。それにどっちかと言えばサトエリ山崎富栄だよね。うん、山崎富栄。最後にダザイと一緒に入水自殺したという、そんな魔性のっぽさがあるからね。もちろん太田静子にも山崎富栄にも、まあそんなこと言ったら菅野美穂にもサトエリにも実際に会ったことないから僕の勝手なイメージでしかないんだけどね。


 まあ、さっきから熱く語ってるけど、ダザイを知らない人にとってみれば、知らない親戚のおじちゃんの話をされているようで、なんのこっちゃわからないだろうけど、一言でまとめると、この『太宰治物語』は一回観ておいて損も害もないし、絶望もしないということだよ。残念ながら100分近くあるから、YouTubeにもニコニコにも上がってないし、僕も上げる予定はないけど、どっかでみかけたら、ぜひ観て欲しいね、ホント。僕も侘しくなったら、また観ようと思ってるんだ。


◆太宰治 新座敷 金木 太宰屋の今日


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