餅つきをしたんだ


 餅つきをしたんだ。杵と臼でぺったんぺったんとね。つまり、わりかし本格的なやつだよ。で、簡単に工程を書いておくよ。まず薪を炊いて、蒸し器みたいな釜の上に餅米をセットするんだよ。餅米はあらかじめ、ちょうどいい分量だけ枡みたいな入れ物に入れられてるんだ。で、その枡は5段ほど積み上げておき、いい具合に蒸しあがった下の枡かつ兵衛から順次取り出して、ついていくわけさ。まあここからは誰もがイメージする「餅つき」の作業で、杵で叩きつける人間と、餅米に水気を加えこねる役目の人間とで、いわゆる餅の状態になるまでぺったんぺったんやるわけさ。で、これが不思議なもんなんだけど、どしどし引っぱたいていると、小さく硬い米粒が大きく弾力のある餅になるんだよね。まあ結構な重労働なんだけどね。



 でね、僕が思ったのがね、最初に餅づくりにチャレンジした人ってのは、なんでわざわざ、こんなことをしてまで餅というか、「米でない何か」をつくろうとしたのかってことだよ。そのまま食ってても問題ない貴重な食料である米を、どうして潰すという冒険をしてみたのかってことさ。これってある意味、最初にタコやカニやナマコを食べてみたって人よりも、チャレンジャーというか、革命的な発想だよね。


 ということで軽く調べてみたんだけど、「餅は古来より縁起の良い食べ物」だとか、「平安時代 には餅鏡と呼ばれていた」といった記述はあれど、「誰がどんな動機で餅米をついてみたのか」とか、「どんな試行錯誤があった末に餅が誕生したのか」はわからなかったんだよね。だからね、君も正月に餅でも食いながら、何か文献で調べておくれよ。誰がなんのために餅を創りだしたのかってことをね。ただ、のどにつまらせないようにだけ充分注意しながらリサーチしてくれよな。


※参考
◆もちの歴史<もち.jp
◆お餅大解剖【お餅の歴史】<100%お餅ミュージアム