松井秀喜著『不動心』感想


不動心

不動心

価格:714円(税込、送料別)


 最新作の『信念を貫く』を読んだので、ついでに買ってみた感じなんだよね。だから、しばらく机の上に置きっぱなしになってたんだけど、別段読むものもなくなったから、しょうがなく手にとったっていきさつなんだよね。


 でもね、これは、『信念を貫く』よりも内容が濃いように思うね。俄然。ワールドチャンピオンに輝いた直後の人間よりも、骨折という苦悩を乗り越えた後の人間の方が、味があって深みがあるってことなのかな。うん、コクもあったよ。きっとそういうことだと思うよ。頂点に立った男の言葉よりも、どん底から這い上がってきた男の言う事の方が、パワーがあるんだよ。


 その中でも僕は「平常心」というワードにすこぶる共鳴したね。僕も「平常心」ってのは、大事だと思うよ。熱くなり過ぎない、そして冷めてもない。常に普通。これができれば、人間なんでもできると思うんだよね。怒りっぽい君は特に注意しておきたい事柄だと思うね。

(略)「打ちたい」と強く願ったからといって、打てるわけではありません。もしも、願いの強さで結果が変わってくるならば、いつも念じます。それこそ400打席同じように念じて、400本塁打を打ちたいです。


 しかし、結果を左右するのは、願いの強さよりも「平常心」ではないかと思います。400打席、同じような心境で打席に入れるかどうか。


 一打出れば勝てるという場面は、相手投手にとっては、一打浴びれば負ける場面です。ピッチャーとバッターがどちらがより「平常心」で臨んでいるかが、勝負の分かれ目になるような気がします。


 チャンスに強いバッターというのは、要するに、ここぞという場面でも「平常心」を保てる選手ではないでしょうか。だから、僕は162試合同じように準備をして、すべて同じ心境で打席に入りたいを思っています。ここぞという場面で打つためにです。